移行生コンパ

農学部では,圃場を「フィールド」と呼ぶことを知る.こちらの世界ではたとえばフロラ調査を行っている地域を丸ごとフィールドと表現したりするが,研究している場所という意味ではどちらも変わらない.コンパで話を聞いている分にはずいぶんちっぽけはフィールドだなあと小馬鹿にしたくなるような気を抱いていたのが恥ずかしい.
移行生コンパの移行生は学部2年次のことを差しており,彼らに卒業研究ではどんなことをするのかと云うことに興味を持ってもらい,将来の配属を考える助けにすることが趣旨らしい.自分の2年次と云えば,卒業研究など全く見えておらずサークル活動について行くのが精一杯であった.仮に元の大学でこのようなイベントがあったとしてもまず参加しなかったであろう.全員の前での自己紹介・興味分野が控えているならなおさらだ.移行生コンパは任意参加であったが半数近くは集まっていたような気がする.彼らには発表意志が感じられ,それだけで怖じ気づく思いだった.
今回の移行生のキーワードとして「DNA」があったと思う.興味分野でこれを口にする学生が多かったから.農学でDNAということは,遺伝子組み換え食品のような応用農学が思いつく.うちの分野や昆虫体系には学生が来ていなかったことから,彼らには系統解析としてのDNA利用はあまり魅力がないのかもしれない(そもそもこのような利用法は理学部的である).
移行生コンパの二次会では各講座(部屋)ごとに分かれてなぜか料理を振る舞うと云うことになっている.うちは佐藤さんが大量にポスターを描いてくれたが入りは良くなかったような感じ.来てくれた学生の多くは全部回るというような人であった.
移行生コンパの魅力として,早い時期に研究室の様子を知る機会を得るというものがあるというのは繰り返しになるが,加えて研究室に入り立ての3年次や卒論を始めた4年次とも交流できるのがもう一つの魅力とのこと.つまり3・4年次からはいかにして魅力を持ったか,先輩に聞くまでもないような細かいことについてある程度気兼ねなく聞くことができる.教官・研究生はその世界にどっぷりと浸かっており,彼らから得られるのはその分野がいかに魅力的であるかを伝えるのは当たり前のこと.彼らの目線に立った物言いができるというのが今回のイベントに求められる上級生の資質なんだなあと気づかされた.